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性格の悪い日記及びトルネコ3ポポロ異世界並びにシレン。 一応、税理士試験の挑戦記も
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 湊かなえの作品です。

 率直な感想としてはイマイチ。。。。。。

 過去作品と同じく、感情移入出来るキャラが存在せず物語も非現実的な内容になっているので、うまく作品の中に入り込むことができませんでした。
 感情移入出来ない最大の理由は各キャラクターの心の狭さでしょう。もちろん作者さんの方でも各キャラクターごとに細かく人格を設定しているのでしょうが、その設定というのがこの登場人物は頭が良いとか花が好きだとか外形的な事ばかりなんですよね。それぞれ出自が違って環境が違って生き方も違いますが、考えていることはみんな一緒。ひょっとしてこいつら全員家族なんじゃないかしら? と思ってしまいます。
 まあそんな風に、作者の書く人物の性格はワンパターンですが、逆に言うとそこに作者の全力が込められているわけで、そのこだわりには恐れさえ抱きます。

  

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【レビュー】 ルーンの子供たち DEMONIC 3


大一幕 ANOTHER  <トミソン>

 題名の通り、今回はジョシュアのファンになったトミソンのお話です。

 実は前回のお話の最後、トミソン君はジョシュアのことを嫌う先輩に目をつけられてしまいました。まあジョシュアはいじめられっ子みたいなものですから、そういう人の味方であるというだけでとばっちりを食らうというのはどこの世の中でも同じです。ひどい話ですね。

 トミソンは意地悪な先輩とチェスの勝負をすることになりました。この勝負には、もしトミソンが負けたら今後一切ジョシュアの歌に関して口にしないという条件がつけられていました。トミソンくんにとって有利な条件は何一つないのに、こんな勝負をさせられるなんて、パワハラ以外のなにものでもありません。しかも相手はチェスのプロとして有名な先輩でした。

 チェスの基本的な動きすら出来ていないトミソンを弄ぶ先輩。彼は貴族であるジョシュアをののしっています。いま彼らのいる都市ケルティカでは共和革命が起こっているので、彼らにとってはジョシュアのような貴族は本来処罰の対象なのです。未だにアルニム家が無事なのは、公爵が王政時代に築いてきた市民からの信頼故でした。共和制の中でのうのうと生きている貴族のジョシュアはそういう意味でも先輩に嫌われていました。先輩は共和派の中でもより過激なグループに属していましたから。

 そんなわけでチェスでトミソンがぼこぼこにされている中、ついにジョシュアが登場します。彼はトミソンに味方するといい、彼に代わって先輩と対峙しました。とはいえ仕切り直しではなくトミソンの盤面をそのま引き継ぐため、ジョシュアは初めから圧倒的に不利でした。しかしそんな中でもジョシュアは淡々と毒を吐きます。

先輩「敬語つかえ」
ジョシュ「僕の存在自体が悪だとほざいている奴に大して礼儀を守る必要などあるのか」

 ジョシュアの態度は毅然としていて、読者としては非常に爽快でした。10歳近く年上の先輩相手に臆しもしないのはさすがです。

 しばらく二人はチェスを指していましたが、ジョシュアは突然試合終了を宣言して立ち去ってしまいました。先輩は何のことか分からず、しばらくの間チェス盤を見つめていましたが、やがて自分が詰んでいたということに気づくと、あまりの屈辱に耐えきれなくなり、血走った目でチェス盤の駒を振り払いました。
 
 床に落ちた駒が乾いた音を立てます。

「呪われた……デモニック……」
 
 チェスのプロである先輩だからこその台詞でしょう。ジョシュアは大してチェスなどしないくせに、その圧倒的な才能で、先輩を倒しました。一体何手先を読んでいるのでしょうか。デモニックの能力は無限なのでしょうか。

 ここまできて初めてジョシュアが皆に恐れられる一面を垣間見ることが出来ました。

 また、この章では彼の父であるアルニム公爵がジョシュアの通う学院の学長と会談をしていました。そこでアルニムは、ジョシュアには普通の子供として育って欲しいと、本音を漏らします。デモニックは比肩しうる者なき天才ですが、デモニックとして生まれた者は皆夭折する傾向にあったようです。アルニム家の跡取りとなるジョシュアが早死にしては公爵としても困るのでしょう。
 

 そんなわけで、この章も終わりです。一章一章に読者を引きつける魅力があふれている、良い作品です。続きが楽しみ。

第一幕 ANOTHER

 子供はすべて天使であるわけではない

「美しいこと、悪意のないこと、強いこと、賢明なること、愛されていること、そのどれも、我々を天上に連れていくことはできない」

 意味深な寓話から始まる、デモニックの第一幕第一章です。この章では主人公ジョシュア・フォン・アルニムの姉であるイブノアが登場します。
 彼女は妖精のように美しい少女でした。そして、彼女の家は公爵家であることもあり、誰もが彼女のことをお姫様のように扱いました。彼女は両親から愛され、望むものは何でも手に入れることが出来ました。彼女の敵になるようなものは、どこにもありません。
 彼女はこの世で幸せな少女。そんな記述が続きます。

 しかし彼女は白痴でした。彼女は紛れもなく幸せな存在でしたが、それは彼女が幸福の裏にある概念……貧困や痛みや未来への恐怖……そういうものを感じる能力がなかった故のことでした。なんだか、冒頭の寓話と関連しているように思います。

 そんなイブにとって、重要な人物が二人います。
 一人はジョシュア・フォン・アルニム。彼女には音楽を理解する力はなくとも、歌を歌う弟を愛することは出来ました。
 そしてもう一人はテオスティッド・ダ・モロ。序章で出ていた敵っぽい若者です。彼はイブの婚約者でした。しかしイブが彼のことを愛しているという記述はあまりなく、むしろこの章からはテオの方がより強くイブのことを想っているというような印象を受けました。二人でジョシュアの出演する公演を見に行ったまでは良いのですが、せっかくのデートだというのにイブは弟のことばかり気にしていて、なんだかテオが可哀想でした。さすがに片思いではないはずですが。。。

 一方のジョシュアは、姉の熱烈な声援、多くの人々の感動とは裏腹に、一人冷め切っていました。彼の歌に感動したトミソンという少年が感情を抑えることが出来ずにジョシュアの控え室に乗り込むと、ジョシュアは無味乾燥とした瞳で彼を見つめ、言いました。
「ぼくはそれほど歌が好きなわけではない」

 本当に歌が好きで、一流になるために小さいころから努力を続けてきたトミソンにとっては大きなショックだったことでしょう。初めて本当の天才に出会ったのに、その人物には情熱の欠片もなかったのですから。

 才能に恵まれすぎたジョシュアはきっと何をしても面白くないのだと思います。普通の人にはとうてい理解出来ないレベルの話ですが。。。。

 しかしそれでもトミソンは、自分がジョシュアのファンであることをはっきりと言いました。
「ぼくは歌を愛しているから、君の歌をきけただけでも満足だ。一生、満足すると思う。これは大げさに言っているんじゃないよ。本当に、ぼくには天使の声のように聞こえたんだ。エンジェリックと言ってもいいほど

 エンジェリック。デモニックの反対の言葉です。まさにそのデモニックの名を持つジョシュアは苦笑して言いました。それは僕にもっとも似合わない言葉だ、と。


 ……なんだか思った以上に暗い話が展開されています。行きすぎた才能を持つ少年と、白痴の少女と、その少女を愛する若者と、デモニックのファンになってしまった少年ですか。
 まだまだこれから新しい登場人物も出てくることでしょうから、期待して次章を読みたいと思います。
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