性格の悪い日記及びトルネコ3ポポロ異世界並びにシレン。
一応、税理士試験の挑戦記も
第一幕 ANOTHER
子供はすべて天使であるわけではない
「美しいこと、悪意のないこと、強いこと、賢明なること、愛されていること、そのどれも、我々を天上に連れていくことはできない」
意味深な寓話から始まる、デモニックの第一幕第一章です。この章では主人公ジョシュア・フォン・アルニムの姉であるイブノアが登場します。
彼女は妖精のように美しい少女でした。そして、彼女の家は公爵家であることもあり、誰もが彼女のことをお姫様のように扱いました。彼女は両親から愛され、望むものは何でも手に入れることが出来ました。彼女の敵になるようなものは、どこにもありません。
彼女はこの世で幸せな少女。そんな記述が続きます。
しかし彼女は白痴でした。彼女は紛れもなく幸せな存在でしたが、それは彼女が幸福の裏にある概念……貧困や痛みや未来への恐怖……そういうものを感じる能力がなかった故のことでした。なんだか、冒頭の寓話と関連しているように思います。
そんなイブにとって、重要な人物が二人います。
一人はジョシュア・フォン・アルニム。彼女には音楽を理解する力はなくとも、歌を歌う弟を愛することは出来ました。
そしてもう一人はテオスティッド・ダ・モロ。序章で出ていた敵っぽい若者です。彼はイブの婚約者でした。しかしイブが彼のことを愛しているという記述はあまりなく、むしろこの章からはテオの方がより強くイブのことを想っているというような印象を受けました。二人でジョシュアの出演する公演を見に行ったまでは良いのですが、せっかくのデートだというのにイブは弟のことばかり気にしていて、なんだかテオが可哀想でした。さすがに片思いではないはずですが。。。
一方のジョシュアは、姉の熱烈な声援、多くの人々の感動とは裏腹に、一人冷め切っていました。彼の歌に感動したトミソンという少年が感情を抑えることが出来ずにジョシュアの控え室に乗り込むと、ジョシュアは無味乾燥とした瞳で彼を見つめ、言いました。
「ぼくはそれほど歌が好きなわけではない」
本当に歌が好きで、一流になるために小さいころから努力を続けてきたトミソンにとっては大きなショックだったことでしょう。初めて本当の天才に出会ったのに、その人物には情熱の欠片もなかったのですから。
才能に恵まれすぎたジョシュアはきっと何をしても面白くないのだと思います。普通の人にはとうてい理解出来ないレベルの話ですが。。。。
しかしそれでもトミソンは、自分がジョシュアのファンであることをはっきりと言いました。
「ぼくは歌を愛しているから、君の歌をきけただけでも満足だ。一生、満足すると思う。これは大げさに言っているんじゃないよ。本当に、ぼくには天使の声のように聞こえたんだ。エンジェリックと言ってもいいほど」
エンジェリック。デモニックの反対の言葉です。まさにそのデモニックの名を持つジョシュアは苦笑して言いました。それは僕にもっとも似合わない言葉だ、と。
……なんだか思った以上に暗い話が展開されています。行きすぎた才能を持つ少年と、白痴の少女と、その少女を愛する若者と、デモニックのファンになってしまった少年ですか。
まだまだこれから新しい登場人物も出てくることでしょうから、期待して次章を読みたいと思います。
子供はすべて天使であるわけではない
「美しいこと、悪意のないこと、強いこと、賢明なること、愛されていること、そのどれも、我々を天上に連れていくことはできない」
意味深な寓話から始まる、デモニックの第一幕第一章です。この章では主人公ジョシュア・フォン・アルニムの姉であるイブノアが登場します。
彼女は妖精のように美しい少女でした。そして、彼女の家は公爵家であることもあり、誰もが彼女のことをお姫様のように扱いました。彼女は両親から愛され、望むものは何でも手に入れることが出来ました。彼女の敵になるようなものは、どこにもありません。
彼女はこの世で幸せな少女。そんな記述が続きます。
しかし彼女は白痴でした。彼女は紛れもなく幸せな存在でしたが、それは彼女が幸福の裏にある概念……貧困や痛みや未来への恐怖……そういうものを感じる能力がなかった故のことでした。なんだか、冒頭の寓話と関連しているように思います。
そんなイブにとって、重要な人物が二人います。
一人はジョシュア・フォン・アルニム。彼女には音楽を理解する力はなくとも、歌を歌う弟を愛することは出来ました。
そしてもう一人はテオスティッド・ダ・モロ。序章で出ていた敵っぽい若者です。彼はイブの婚約者でした。しかしイブが彼のことを愛しているという記述はあまりなく、むしろこの章からはテオの方がより強くイブのことを想っているというような印象を受けました。二人でジョシュアの出演する公演を見に行ったまでは良いのですが、せっかくのデートだというのにイブは弟のことばかり気にしていて、なんだかテオが可哀想でした。さすがに片思いではないはずですが。。。
一方のジョシュアは、姉の熱烈な声援、多くの人々の感動とは裏腹に、一人冷め切っていました。彼の歌に感動したトミソンという少年が感情を抑えることが出来ずにジョシュアの控え室に乗り込むと、ジョシュアは無味乾燥とした瞳で彼を見つめ、言いました。
「ぼくはそれほど歌が好きなわけではない」
本当に歌が好きで、一流になるために小さいころから努力を続けてきたトミソンにとっては大きなショックだったことでしょう。初めて本当の天才に出会ったのに、その人物には情熱の欠片もなかったのですから。
才能に恵まれすぎたジョシュアはきっと何をしても面白くないのだと思います。普通の人にはとうてい理解出来ないレベルの話ですが。。。。
しかしそれでもトミソンは、自分がジョシュアのファンであることをはっきりと言いました。
「ぼくは歌を愛しているから、君の歌をきけただけでも満足だ。一生、満足すると思う。これは大げさに言っているんじゃないよ。本当に、ぼくには天使の声のように聞こえたんだ。エンジェリックと言ってもいいほど」
エンジェリック。デモニックの反対の言葉です。まさにそのデモニックの名を持つジョシュアは苦笑して言いました。それは僕にもっとも似合わない言葉だ、と。
……なんだか思った以上に暗い話が展開されています。行きすぎた才能を持つ少年と、白痴の少女と、その少女を愛する若者と、デモニックのファンになってしまった少年ですか。
まだまだこれから新しい登場人物も出てくることでしょうから、期待して次章を読みたいと思います。
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